寒い日が続くと、思い出したように聴きたくなる歌がある。
ミュラー作詞、シューベルト作曲の「冬の旅」である。
元々、ドイツ・リートが好きだった私は、以前にも書き記したように、
ヘルマン・プライの熱狂的なファンであった。
若かりし頃、彼の来日を知るや、少ない小遣いを貯めて、「美しき水車小屋の娘」や、
「冬の旅」を何度も聴きに行った。
サントリーホールでの「冬の旅」は彼の最後の舞台だった。最終曲で彼の声が途切れ、
幕間に戻り、何事もないように再び登場し全曲唄いきった。後のインタビューで、
「自分自身に神が降臨し胸が一杯になって、声が詰まった」と話、ドイツに帰国して間もなく彼は逝ってしまった。
インタビューを聴く前に、凄い感動を感じていたが、やはり彼自身何かを感じ燃え尽きる命懸の熱唱だったように思う。
菩提樹を聴くと、今でも涙が溢れる。あのコンサートを思い出す。
小中学校の音楽の教科書から、菩提樹が消えて行っている。私は残念な事だと思う。
感性豊かな時期に素晴らしい芸術に触れるのは、その先の人生を豊かな物にするからである。
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